Japanese Red Cross Medical Center Emergency and Critical Care Medicine Center

Treatment(詳細編)

CSCATTTにおけるTreatment、すなわち「治療」といわれても、あらゆる病態に対して実施すべき治療は普遍的であるはずです。
例えば頭部外傷で「急性硬膜外血腫」という頭の中で血がビュービュー噴き出してしまうケガがわかり、
このままでは死んでしまう、意識も悪くなって瞳孔が開いてきて・・・という状況では
平時であろうと災害時であろうと、開頭手術をして出血を止めないことには救命は難しい状況になります。
骨盤骨折によって骨盤内の血管も損傷し、そこからの出血が止まらなくて命にかかわる場合、
骨盤を固定したり、血管内治療で出血している血管を詰めて止血したりしないといけないし、
輸液だけでなく輸血もしたいと思うのは、
平時でも災害時でも一緒です。

しかし、どこででも骨盤を固定するだとか血管内治療をするだとかということができなくなるのが災害というものです。
人手が足りない、モノがない、薬がない、電力が落ちてるからあらゆる医療機器が使えない、断水で透析ができない・・・・・などなどあらゆる障壁がある中で、
多数傷病者の治療を迫られるのが災害時のTreatmentというものです。

だからこそ、その瞬間にできる「最大多数の最大幸福」を達成するような処置を判断していく必要が出てきます。
つまり、「安定化処置」に留めて搬送の間をなんとかもたせるような考え方も必要になるのです。
それは見方によっては個人個人の受けられる治療が制限される場合もある、と捉えられるでしょう。
しかし、災害時はあらゆる制限、制約のもとに医療を提供せざるを得ない状況です。
そんな中で少しでも効率的に、一人でも多くの患者を救うかというところに注力していくしかありません。

あれがない、これがないと贅沢言わずにあるものを組み合わせて創意工夫し、総合的に判断することは、
現代の最先端医療と逆行する動きかも知れませんが、
平時の臨床現場で養っておくより仕方ないので、
平素からひとつひとつの処置、一件一件の手術でも意識していくのではないかと思います。

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